タイトルはふざけてるけど面白い。 全然知らんけどXTCの曲にインスパイアされてるらしい。 それで、第13回メフィスト賞受賞作。 話は女子高生を殺してハサミを突き刺す犯人とそれを捜査する警察の両方の 視線から書かれたミステリで、普通に面白い。 そして、もう一度読もうかなとも思うくらいだが、あまり内容を書くと 不幸にもこのページを目にした人の楽しみが減ってしまうのでこの辺で。
銀の檻を溶かして – 高里椎奈
めちゃくちゃ久しぶりに読書。 この本は高里椎奈のデビュー作で、第11回メフィスト賞受賞作。 結構前に買ってたんだけど、パワー不足で読んでなかった。 大森望が「本格ミステリとヤングアダルトのアルペジオ」と帯で推薦している。 ヤングアダルトって言うのはティーンズハート系のことで、しかもこの話は妖怪物。 というわけで、読んでみると良い話。 いやホントに良くかけてるって感じでオーソドックスに面白いのだけど、 登場人物が妖怪で美少年に化けて暮らしている3人組で入りにくい。 実際には本格って感じはしなくて、解説を読んで「幽霊事件」の系統だなと ひとり妙に納得したりもする。 作者の高里椎奈は女の人で1976年生まれだから一つ年上。 それで、芝浦工大の機械工学科。 同じ理系でも、森博嗣の文章は言葉の端々でフィーリングが会う感じがするが、 この人の場合はいまいちシンクロしない感じ。
幻惑と死と使途 – 森博嗣
S&Mシリーズ6作目の幻惑の死と使途です。 やはり良いです。Vよりこっちのが良いね。 最近は売れるようになったから手を抜いてるのかな。 手品師の話。 殺人の舞台が手品師たちなので、トリックの存在を考えてしまい、 本質を見逃してしまう。 最初に少しだけ出てくる杜萌が良い。こういうキャラ好き。 流れ的には、次の本に出てきそう。 それで、やはり良いのはアイデンティティの境界があいまいになるところ。 四季や天王寺博士と同じ感じ。これが真髄だね。あとはおまけ。 ちょうど、萌絵が院試の前後という時期だったので、妙に良い。
人形式モナリザ – 森博嗣
Vシリーズ2作目の人形式モナリザです。 S&Mシリーズは主人公が2人ですが、Vシリーズは主人公が4人なのです。 このあたりが第2シリーズの余裕でしょうか。 いつにもまして、森ワールドが繰り広げられています。 練無も元気です。彼はれんちゃんと呼ばれています。 そして、たくさん人形が出てきて、モナリザなのです。 ちなみに、絵を盗んだのは意外な人でした。 そして、現代のミステリは精神世界の中で繰り広げられるのです。
スウェーデン館の謎 – 有栖川有栖
有栖の館シリーズ、ではなくて、国名シリーズです。 国名シリーズは、アリスと火村教授のコンビが活躍します。 もうひとつ、アリスと江神先輩のコンビが活躍するシリーズもありますが、 どちらかというと先輩のほうが好きです。 大学のミステリ研という年代設定のためか、冒険というにふさわしい、 非日常で緊張感あふれる話なのです。 それに比べて教授のほうは、少しおとなしい話です。 しかし、それは教授のほうは面白くないということではなくて、 有栖作品の面白さは健在です。 アリスと火村教授のコンビは爆笑問題のような感じかな。 それで、スウェーデン館と呼ばれる館で殺人が起こり、 火村教授の手によって鮮やかに解決されるのです。 スウェーデン館に住むリュウやヴェロニカといった人物が好きかどうかは 好みの分かれるところですが、いい話です。 トリックもあります。
封印再度 – 森博嗣
巷では、人形式モナリザが発売されましたが、 犀川&萌絵シリーズ第5弾の封印再度です。 鍵のかかった箱とその鍵の入った壷があって、 壷の口より鍵が大きくて取り出せない、という話です。 それでトリックは、ほんとにこんなのありか?って感じです。 しかし、話は相変わらず面白いです。 2つの考えうる真相のうち、どちらが本当に真相であっても、 本質的に差異はないのです。 笑わない数学者のときと、似ています。 猫は、生きているのでも、死んでいるのでもなく、その両方の状態なのです。 そして、文章はいつものように冴えわたり・・・ しかし、何冊も読んでると、新鮮さは感じませんね。 またか、って感じですか。 でも、いいところはいい。 たとえば、次のような会話。 「どこへ行きますか? 先生」 「北だ」 「北極にでも行きたいんですか?」 「君は滝に行きなさい」 もう、最高。 ちょっと、文脈はしょってるけど。
19ボックス 新みすてり創世記 – 清涼院流水
久しぶりに、清涼院流水。 相変わらず、激しい言葉遊びに終始する話で、読者を選びそう。 この本は、「カウントダウン50」、「華ある詩~モナミ」、「木村間の殺人xⅡ」、 「切腹探偵幻の事件」の4つの短編からなっている。 全体としては、それぞれの話が、ほかの話を作中作のように扱って、 作者的には、読む順番によって、話が変わるらしい。 おもしろいといえば、おもしろいが、ストーリー的おもしろさは無し。
ROMMY 越境者の夢 – 歌野晶午
ROMMYという女性シンガーの話。 話全体が、登場人物の誰か一人をクローズアップして書かれた 短いパートの組み合わせで出来ていて、それがトリックになっている。 そして、違う名前で呼ばれている2人が実は同じ人だとわかった時点で ひとつの真実が読者に示される。 しかし、もっと大きなトリックはROMMYが実はおとこということで、 裕美という本名が絶妙にカムフラージュしている。 二つの大きな叙述トリックで、うまく引っ張られていて、 気持ちいいカタルシスが味わえる。
誰彼 – 法月綸太郎
法月綸太郎の第3作。 作者と同盟の探偵、法月綸太郎が登場する。 新興宗教の内部を舞台とした事件だが、死体が誰なのかあやふやな話。 その人がその人であることの不確かさはよくわかるが、 真実がひっくり返ったときの落差が少なく、消化不良気味。 密閉教室にもいえるが、状況が誰が犯人でも紙一重で、 あまり結末に感慨が沸かない。
密閉教室 – 法月綸太郎
法月綸太郎のデビュー作。 探偵、法月綸太郎出てこない。 そのかわりに、森警部の名前が林太郎である。 高校を舞台にして起こるミステリを一人の学生が解決しようと奮起する話。 青春ものなので、それだけでも十分楽しめる。 事件は結局複雑な裏事情により、複数の人が犯行にかかわっていて、 すっきりとしない解決。 若くしてデビューする作家のデビュー作は青春ものが多い気がする。 人物が書きやすいからかな。
