匣の中の失楽 – 竹本健治

ミステリ史上に残る傑作と言われる、「匣の中の失楽」です。 最近の、いわゆる新本格などと呼ばれるミステリ、もしくはそれ以外のものでも、 よく名前が出てきます。 それは、本文中かもしれませんし、後書きの中でかもしれません。 いわゆる、ミステリが大好きな、ミステリを愛してるミステリ作家は、 少なからず、この作品にインスパイアされているということなのでしょう。 というわけで、読んでみました。 この作品は、しばしば「アンチ・ミステリ」などと、評されてきたみたいですが、 綾辻行人は、あえて、「本格ミステリ」と呼びたいといっている。 作中作と、現実を(もちろん、作中の)巧妙に絡み合わせて、 ミステリを構築している。 しかし、これを今、初めて読んでしまうと、衝撃をあまり受けないのです。 残念なことに。 本当は、これが21年も前に書かれた作品だというところが、すごいのでしょう。 狭義の本格にとらわれない、型破りなミステリがこの作品から始まったといっても 良いに違いありません(ほかの作品も読まない、かってな意見だけど)。

アヤツジユキト 1987-1995 – 綾辻行人

これは、小説ではありません。 綾辻行人が1987年から1995年に書いた小説以外の文章が集められています。 なんていうのでしょう、なにげにおもしろい。 ファン待望のクロニクルらしいです。 たしかに、ファンにはおもしろいが、それ以外の人には、お勧めできない本でしょう。

QED 百人一首の呪 – 高田崇史

第9回メフィスト賞受賞作です。 どうなのでしょう。百人一首の好きな人には面白いのかな? 個人的には、面白くないです。 あまり、長くない話なので、話のほとんどは百人一首の話で、 百人一首に興味がない人には、ほとんど、楽しむ余地がありません。

法月綸太郎の冒険 – 法月綸太郎

法月綸太郎の短編集です。 いままで、法月綸太郎の本もそれなりに読んだことがあるつもりでいたけど、 実は「雪密室」1冊しか読んだことが無かった。 なんていうか、あまり読まずに低い評価を下していたような気がしてしまう。 素直な言い方をすると、法月綸太郎も好きということ。 この短編集もどの作品もよい。 前半の3作はそれぞれ独立した話で、後半の4作は「図書館シリーズ」だ。 前半は、どれもカタルシスを味わえるようなしかっりとしたつくりで、 後半は、司書の沢田穂波が魅力的だ(俺的には)。話は少し軽いけど。 しかし、短編集とは言っても最初の「死刑囚パズル」が力作で長いのです。 いや、よい話だけど。 というわけで、よいです。

殺戮にいたる病 – 我孫子武丸

我孫子武丸の最高傑作といわれている「殺戮にいたる病」です。 これは、なんていうのでしょう、雰囲気的にはホラーです。 でも、本質は、そんなところにはなくて、実は、叙述トリックなのです。 全くそんなことを感じさせず、最後にそれを知ってしまった後には なんとも言えない喪失感というか虚無感のようなものに襲われてしまいます。 物語はひとりの年老いた元警部の冒険活劇なのです。 妻を先に無くし、生きる意欲を失っていた老人がつかのまのモチベーションに なんらかの世界を見出したのでしょう。 しかし、物語は意外な展開で幕を閉じ、 読者は世界がいつかは終わってしまうということを もっとも残酷な方法で、知らされてしまうのです。

人形は遠足で推理する – 我孫子武丸

我孫子武丸です。人形シリーズの第2作です。 第1作はまだ読んでません。第3作はもう読んでます。 いつもどおり、腹話術の人形、鞠夫が活躍する軽いミステリです。 あいかわらず、朝永さんと妹尾睦月の仲は進行しません。 なんか、物足りない感じ。 バスジャックされて、ほとんどそれだけで話が終りだし。 人形シリーズはダメか?

詩的私的ジャック – 森博嗣

犀川&萌絵シリーズ、第4作詩的私的ジャックです。 よいです。 やはり、最近では森博嗣がいちばんのお気にいり。 でも、たくさん読んでいると、よい話であたりまえのような気分になってくる。 人間って贅沢なもんだ。 密室が出て来たりして、まるでミステリみたいだ。 稔はミュージシャンで歌詞が出てきてストーリーにも関係あるのだが、 こう言うのは好きではない。 ミステリの部分もおもしろいが、犀川と萌絵の関係ももちろんおもしろい。

笑わない数学者 – 森博嗣

犀川&萌絵シリーズ、第3作の笑わない数学者です。 よいです。 若干はずしてる部分もあるが、基本的には好き。 ただ、部屋が回転するのはどうもも好きではない。 一応は、ミステリであるが、すでに殺人の起こる必然性を感じない。

完全無欠の名探偵 – 西澤保彦

久しぶりに、西澤保彦の本を読んだ。 解体諸因について、2冊目だ。 普通の名探偵とは違った感じの人物が謎を明かすという話だ。 本人は何もしないのに、触媒のように謎が解けるところがうりらしい。 構成的には、小さなエピソードが組み合わさってひとつの話になっていて、 解体諸因もそんな感じだった。これは作者も後書きで言っている。 はまると、凝るタイプらしい。 基本的には、実は無関係に見えるところにつながりがあって・・・ のような感じで、読ませるのだが、ちょっと複雑過ぎる。 そんなにたくさんの出来事が絡まっているのは、あまりに、不自然だし、 読んでいて混乱すること間違い無し。 あとは主人公の現在と過去の2つの場面が組み合わさっている。 おもしろいが、もうひとおし。

黒猫の三角 – 森博嗣

最近、森博嗣のファンなのです。 というわけで、ノベルズ版なのですが、購入です。 この本はミステリです。 今までの犀川&萌絵のシリーズが終ったので、新シリーズです。 ちなみに、このシリーズの人々が出てくる短編がすでに、 「地球儀のスライス」に載ってます。 「気さくなお人形、19歳」ってやつです。 まずはタイトル。デルタっていう名前の黒猫が出てきます、それで黒猫の三角です。 しかも、クロネッカーのデルタとかかっているらしいです。 てゆーか、このしゃれを思いついて、 そのために本を1冊書いたのではと疑ってしまう。 まるで、1フレーズだけいいメロディを思いついて、曲を書く小室哲哉のようだ。 結局のところ、ミステリですが、殺人のトリックとかは凝ってません。 読者に対するトリックに凝ってます。 記述者が実は・・・っていうのもそうです。(せつめいめんどー) さらに、実は、小鳥遊練無が男だというのが地球儀のスライスから続く 一大叙述トリックかも・・・ てゆーか、練無が男でちょっとショック。 でも、読んでるうちにファンになってしまった。 このシリーズのテーマは「スカートを膨らます」だ。 つまり、練無はスカートを膨らますのだ。 さらに、犯人は主人公格の人・・・と見せかけて、実はその人に成りすました別人だ。 って、このトリック前にも聞いたぞ。 というわけで、動く家の殺人の信濃譲二とおなじだ。 さらに、頭の切れる人が続出だ。 森博嗣は頭の切れる人が好きらしい。 しかも、常人には理解のできない超越者風のやつだ。 という風に、まだまだもりだくさんだが、なんか満足した気分になったのでここまで。