殺戮にいたる病 – 我孫子武丸

我孫子武丸の最高傑作といわれている「殺戮にいたる病」です。 これは、なんていうのでしょう、雰囲気的にはホラーです。 でも、本質は、そんなところにはなくて、実は、叙述トリックなのです。 全くそんなことを感じさせず、最後にそれを知ってしまった後には なんとも言えない喪失感というか虚無感のようなものに襲われてしまいます。 物語はひとりの年老いた元警部の冒険活劇なのです。 妻を先に無くし、生きる意欲を失っていた老人がつかのまのモチベーションに なんらかの世界を見出したのでしょう。 しかし、物語は意外な展開で幕を閉じ、 読者は世界がいつかは終わってしまうということを もっとも残酷な方法で、知らされてしまうのです。